2026年4月2日 07:37
仕事と介護の両立は、今多くの企業にとって重要な経営課題となっています。
しかし現場では、制度があっても活用されず、結果として離職に至るケースが少なくありません。
本記事では、現役ケアマネジャーとしての現場経験と、産業ケアマネとしての企業支援の視点から、実践的な両立支援のあり方についてお伝えします。
増え続ける「仕事と介護の両立」という課題
仕事と介護の両立支援は、今や多くの企業にとって避けて通れない課題となっています。
超高齢社会の進展に伴い、働きながら家族の介護を担う人は年々増加しており、「介護離職」は個人だけでなく企業にとっても大きな損失となっています。
2025年の育児・介護休業法の改正により、企業には制度整備や個別の意向確認など、より踏み込んだ対応が求められるようになりました。
しかし現場では、「制度はあるが使われていない」という課題が依然として存在しています。
現場で見えている介護のリアルと家族の疲弊
私は現役のケアマネジャーとして、日々介護の現場に関わっています。
その中で感じるのは、介護を担う家族の想像以上の負担と、疲弊していく現実です。
例えば、仕事を終えてから実家に通い、食事や排泄の介助、服薬管理を行う。夜間の見守りが必要な場合は十分な睡眠も取れないまま、翌日も仕事に向かう。
こうした生活を誰にも相談できず、一人で抱え込んでいる方が少なくありません。
介護はある日突然始まり、いつまで続くか分かりません。
身体的・精神的な負担に加え、「職場に迷惑をかけたくない」という思いが重なり、限界を迎えたときには離職という選択をせざるを得なくなるケースもあります。
なぜ制度だけでは介護離職を防げないのか
こうした現実を目の当たりにする中で強く感じるのは、「制度だけでは介護離職は防げない」ということです。
企業側は制度を整えていても、従業員がその存在を知らなかったり、相談することに心理的なハードルを感じていたりすれば、支援にはつながりません。
また、介護の状況は一人ひとり大きく異なるため、一律の対応では十分とは言えないのが実情です。
制度は「あるだけ」では意味がなく、「使われて初めて価値を持つ」という視点が求められています。
企業に求められる「使える支援」とは
これからの企業に求められるのは、制度を整えることにとどまらない「使える支援」の構築です。
まず重要なのは、従業員の変化に早期に気づける仕組みです。
定期的な面談や声かけにより、本人が言い出す前に状況を把握することが、支援の第一歩となります。
次に、一人ひとりに合わせた個別対応です。勤務時間の調整やテレワークの活用、外部サービスの情報提供など、その人の状況に応じた柔軟な支援が必要です。
そして何より大切なのが、「相談してもよい」と思える職場環境です。上司や同僚が介護への理解を持ち、支え合える風土があってこそ、制度は初めて機能します。
現場と企業をつなぐ「産業ケアマネ」という役割
こうした取り組みを進めるうえで、企業と介護の現場をつなぐ存在の必要性を感じています。
私は産業ケアマネとして、企業と従業員に寄り添いながら、双方にとって無理のない支援のあり方を共に考える活動を行っています。
介護される側の状況や家族の負担を理解したうえで企業に伝えること、そして企業の事情も踏まえながら現実的な対応策を提案すること。
この「橋渡し」の役割こそが、仕事と介護の両立を支える鍵になると考えています。
法改正を「現場で機能する支援」へ
介護離職は、防ぐことができる課題です。そのためには、制度を整えるだけでなく、現場の実態に目を向け、実際に機能する支援体制を構築していくことが不可欠です。
介護の専門職であるケアマネジャーとしての視点を持つ産業ケアマネとして、企業とともに、誰もが安心して働き続けられる社会の実現に貢献していきたいと考えています。
■産業ケアマネとは
企業と介護の現場をつなぎ、介護離職を防ぐための支援を行う専門職です。
■活動について
現役ケアマネジャーとしての現場経験をもとに、企業向けに介護セミナーの実施や、従業員の介護に関する実態調査・支援体制づくりのサポートを行っています。
企業の実情に合わせた現実的な支援をご提案しています。

